2008年の学会報告
日本臨床美容形成外科医会と云う小さな勉強会がある。形成外科出身者で美容外科を探境している開業医の会と云っても良い。小さな会ながら66人と云うメンバーで一騎当千の方々ばかりである。今回、秋の会合(勉強会)を新垣形成外科の先生が幹事で沖縄で開催した。勉強会の主なテーマは「わきが」となっており、追加演題として私も「わきが術後の固定法」である枕木法を報告した。多くの入り乱れた議論百態したが、それなりに得る事は多々あった。飾り気のない討論だからこそ本音のやり取りが出来、日常臨床に役立つと云う訳である。幹事の新垣実先生にお礼を申し述べておく。
頭記学会が宮本義洋会長(宮本形成外科)の下で開催され約400人余の美容外科医が参加しました。「美容外科のルネッサンス:安全で効果ある美容外科治療を求めて」と云う大命題を揚げて開催された本学会は数多くの発表と成果を得て、多くの会員に多大なる益をもたらしました。私自身は「眼瞼形成術の長期結果と合併症」シンポジウムの座長として1時間40分の進行役をさせて頂きました。非常に内容が濃いシンポでしたので時間が幾等あっても足りないと云う感じになりましたが、7人の演者の方々(佐藤、高橋、一瀬、大慈弥、酒井、與座、平野の先生方)は勢力的に日頃の研究成果をご報告なさいました。
那覇市医師会ホールにて高松亜子先生による性別適合手術に関する種々なる内容、即ち性別の胎児期の成り立ち、性転換手術の歴史、日本の法律、世界の趨勢、実際の手術手技などを含めたご講演がありました。那覇市の開業医を中心に興味をもって拝聴する事が出来ましたが、不しょう私が座長をさせていただき医療の最先端の勉強を致しました。
我々は上記学会にて目の下に於ける目袋の除去に対し、最近盛んに施行されている「いわゆるHamra法」なるものについて自験例を検証し報告してみました。先ずは文献的考察から始め、本法は必ずしもHamra氏が始めたものではなく、1981年にLoeb,R氏がすでに報告している事を強調しました。その後、Hamraが本法を色々応用し、広めたと云う実績がある点を述べ、さらに年間約30例近く施術した経験的な事から目の下のふくらみやしわとりなどに関し、すべてをHamra法に頼るのではなく適応を厳格にしないとうまくいかない症例がある点も述べました。目の下のふくらみ・しわを3型に分類し、軽度や重度型には適応とならず、中等度の目袋(Baggy eye)などは適応があると強調しました。
本学会に於いて「上口唇の小腫瘤摘出術のいろいろ」と云う演題で報告しました。上口唇は小さなホクロや腫瘤が沢山発生する所ですが、外見的に目立つので除去を希望する方は大勢おられます。但し上口唇は鼻や唇の形など微妙な形態を要しておりますので、傷を含めて慎重に取らねばなりません。そこで我々は上口唇部を①鼻のまわり②鼻唇溝三角部③人中のたかまり④人中のへこみ⑤赤唇部と白唇部の移行部⑥口角部・その他に分け、これ迄どのように治療してきたのかを症例を挙げ報告しました。
The Aesthetic meeting 2008。San Diego Convention Center で開催された本学会はISPAS(国際形成美容外科学会)と並び称される世界の美容外科医が関心高く見守っている学会です。私もこの学会は始めての参加です。費用も格式も高い学会なので関心はあってもなかなか参加しづらいのが現況です。(参加費だけで日本円で20万円もするのです。そしてOptional Courses となると1ヵ所約2万円です)例年に比べて米国景気が悪く参加者は少ないと云う事でしたが、各会場共に熱心な方々で溢れておりました。スライドや動画など最新のコンピューターシステムの中で映画より素晴らしい画面が観られ内容豊かでした。さすがに全部をみる事は出来ませんでしたが、楽しめた事は確かであり、明日へのエネルギーを頂いたのは神の思し召しだったのかと思います。いずれにしろ来年はラスベガスと云う事で高い知識をもって患者さんの為にも自分の家族の為にも今一度踏ん張ってみたいと思いました。
東京:青山ダイヤモンドホールにてスイスからいらっしゃったSwiss Bellefontaine Health and Wellness Center の医師、Gundner Doctor と Thi Weber Doctor のお話しを伺う機会があった。彼等は馬から取れる血清などを Swiss の Hotel で5日間にわたって注射すると健康を持続出来ると云うものであった。注射の内容によっては目に効くもの、骨に効果的なもの等々があると云う事であるが、然し、スイス迄来ていただくと Anti-Aging が可能と云う事なので、これは現実的ではないし、もし効果がなかったらどちらの方が責任を負うのかも不明で不安がみえた。当然の事ながら詳しい医学的証明をその時お話しなされていないので明るい見直しがみえないセミナーであったとの印象が残った。
2月21日(木)から23日(土)迄、日本と韓国の形成外科学会が沖縄の万国津梁館にて開催されました。日韓交互に開催する本学会の参加へは始めて加わってみましたが、沖縄での開催と云う事と、警病形成外科のレジデント時代一緒に勉強した現東京医科歯科形成外科教授秦維郎先生の主催によるものでしたので旧知の関係もあり、かけ参じました。沢山の演題が日韓双方からありましたが、旧交を温めるのに忙しい学会参加でありました。
2月10日から12日迄、オーストラリア メルボルンで開催された第19回国際形成、美容外科学会(ISAPS)に参加してきました。最近、私自身がとみに外国学会にも参加せざるを得ない事情が増えましたが、横浜の脱毛学会を終了してすぐシドニー経由でメルボルンに行きましたので少々疲労はつのりました。然し、この位で怯んでいられないのも美容外科領域です。又、前回の韓国やブラジルの学会では日本人の参加は少なかったのですが、今回は大学を中心に4~50人の方がみえておりました。国際学会は発表演題の取り消しやプログラムの変更が当り前の様にありますが、それでも発表された内容から各国事情が垣間見えると共に美容医療の進歩の状況がわかります。さらに、学会途中、昼夜のレセプションやミニレクチャーなどあり、めまぐるしい内容でしたが、早いスピードやアクセントの強い英語に馴れるのに苦労します。それでも何とか得るものを掴んで・・・と努力しましたが学会を2日程度残し長期旅行を終了、急ぎ沖縄に帰ってきました。新しい知見をどれだけ身につけたか、これからどの位、実践に役立てるかが今後の課題となりそうです。
「小林敏男先生を偲んでレーザー脱毛不可能部位に於ける小林式脱毛」と云う演題で発表しました。今やこの世の中の脱毛はダイオードやRF併用レーザー脱毛が巾を利かせておりますが、それだけでは脱毛出来ない部位も人間には多数あります。例えば陰部やビキニライン、鼻や耳毛などですが、これ等は小林先生考案の絶縁針脱毛でないと完全脱毛が不可能です。又、このコーティングを考案した小林式の針は皮膚に火傷を起さずきれいに効果を出しますが、今亡き小林先生を偲んで特別な脱毛学会と云うのが今学会の特別な意味でありますので友人であった小林君を偲んで発表させていただきました。小林先生が脱毛を始めた頃、同時に私共でも同じ事を開始し、彼には色々教えていただいた歴史があり感無量の面持ちです。今回の発表の中で特に「ブラジリアン」と云う言葉を使用させていただきましたが、米国の脱毛市場の中で頻繁に使用されている言葉と云う事も新たにわかった事実ですので、沖縄の脱毛技術にひとつの特徴を加え広めていく所存にしたいと思っています。
RF(ラジオ波)による医療部門への応用は多岐にわたりつつあります。当院でも顔のたるみとりや、電気メス代わりの止血装置、脱毛技術などに取り入れており、重宝しております。今回は東京で開催されましたラジ・エイジ研究会に飛び入り参加してまいりました。講師はこの分野で有名な白壁征夫先生ですが、彼の講演・実演の間に少しく私共のこれ迄の経験を述べさせて頂きました。写真は全国から集まった形成外科・皮膚科医の先生方が実演している所です。
標記学会が新年1月19日(土)東京:新宿で開催されました。当山美容形成外科からシンポジストの一人として當山護が選ばれ、他の演者と共に「鼻翼・鼻孔底縮小術について」と云う報告をさせていただきました。発表は小鼻の広がり方を6型に分類しそれぞれの手術々式を述べ、その後特殊例として幾つかのfollowupしたケースや長期経過後の結果をお示ししました。当山美容形成外科は長い歴史があるのはご存知の通りですが、それだけに沢山のケース、種々なる方法の組合せなどあり、分類しまとめるのが沢山な作業であった事は確かです。然し、後世の為にそれ等の作業のひとつひとつが役立ってくれると有難い事だと感じました。
当院では時々、職員同士融和を計る為、昼、夜共食事会をします。食べている時は皆様方穏やかなお顔で仏様みたいな女性ばかりです。でも、仕事場では鬼となって仕事に励みます。硬軟おりまぜて沖縄の美容業界をリードしている面々の一コマをお伝えします。
接遇の重要性を日頃から感じています。病医院もサービス業の一種、いつもお会いするお客様に不愉快な印象を与えては困ります。どんなに忙しくても笑顔を忘れない態度、心のこもったおもてなし、大切な事ですが、ついつい忘れがちなのも事実です。多くのお客様に愛されるよう職員一同これからもつとめて参りますので宜しくお願いします。