病気や加齢などによって身体の一部が本来の機能を失ってしまう、もしくはその能力が著しく低下してしまった場合にご自身の細胞を用いて組織を修復し再生させる治療を再生医療と言います。
従来の治療は対症療法と言って、失われた機能を元に戻すのではなく、病気によって生じた様々な症状1つ1つに対してお薬を使用する、場合によっては外科的な治療を行ってきました。
再生医療は欠損・損傷した臓器を再建させることで、疾病や損傷を根治させることが可能となるかも知れません。
再生医療は次のように定義されています。
1、患者の体外で人工的に培養した幹細胞等を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療。
2、患者の体外において幹細胞等から人工的に構築した組織を、患者の体内に移植等することで、損傷した臓器や組織を再生し、失われた人体機能を回復させる医療。
再生医療で注目されている幹細胞は大きく3種類。
現在、私たちが再生医療として受けることができる、もしくは将来その可能性がある幹細胞は、大きく3種類あります。それは、もともと私たちのからだの中に存在している「体性幹細胞」と、胚(受精卵)から培養してつくられる「ES細胞」、人工的に作製される「iPS細胞」です。
「ES細胞」と「iPS細胞」は、「体性幹細胞」と違い、様々な組織や臓器に分化する能力を持つ万能細胞です。「ES細胞」のほうが先に開発されましたが、「ES細胞」は受精卵が胎児になる途中の胚の中にある細胞を採り出して培養し、作製するため倫理的な問題があります。
それに対して「iPS細胞」は、成熟した体細胞にいくつかの遺伝子を入れて人工的に未分化な状態に逆戻りさせた幹細胞です。「ES細胞」と同等の能力がある上に、倫理的な問題を解決したことで注目され、2012年には「iPS細胞」を発明した京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。
「iPS細胞」は、2014年に世界で始めて、実際の患者さんへの臨床研究として、網膜色素上皮細胞の移植手術が行われ、実用化への期待が高まっています。将来的には、腎臓や心臓といった臓器を丸ごとつくり出すこともできるのではないかと、大きな期待が寄せられており、根治が難しい病気を中心とした細胞移植治療の研究が進められています。一方で、「iPS細胞」は、万能細胞であるために、意図しない細胞に分化するリスクや、ガン化するリスクも高いため、同時にこれらの課題を解決するための研究も進められています。
この大きく3種類の幹細胞の中で、最も医療への応用が進んでいるのは「体性幹細胞」です。人間の体の中にもともとある細胞を使うため、治療に応用しやすい特徴があります。
「体性幹細胞」には、いくつか種類があり、その代表的なものに「間葉系幹細胞」があります。「間葉系幹細胞」は、骨、軟骨、脂肪細胞などいくつかの異なった組織や臓器に分化する能力があります。現在「間葉系幹細胞」は脂肪に最も多く含まれていることが様々な研究で分かっており、脂肪から取り出した「間葉系幹細胞」を培養し様々な病気の治療に用いることが出来るようになってきました。
当山美容形成外科では患者様から米粒2個程度の脂肪と血液を採取し、特殊な技術で5000万〜1億個程度まで患者様の幹細胞を増やします。その増やした幹細胞を様々な疾患の治療に使用することが可能です。ではどうして自分の幹細胞を使用することで治療が可能なのでしょうか?幹細胞には「homing(ホーミング)」と言われる特殊な能力があると言われています。これは細胞自体が自分の身体の傷んだ部分を察知してそこに集積する能力のことです。損傷部位へ集まった幹細胞はその部位の細胞へ分化します。軟骨がすり減っている場所へ集積した幹細胞は軟骨へ、脳細胞が損傷している場所へ集積した細胞は脳細胞へ、毛母細胞が減っている場所へ集積したら毛母細胞へ高い確率で分化してくれます。
現在日本には1000万〜3000万人程度の人がひざや肘などの関節の痛みに悩まされていると言われています。
その理由の多くが関節にある軟骨の減少が原因です。これまで軟骨はタイヤと一緒で、使う事ですり減ってしまい再生することはないと考えられてきました。
しかし最近の研究によって軟骨自体に幹細胞がいて本来はすり減った分だけ軟骨自身を再生していると言う事が分かってきました。若くて細胞自体が元気な状態であればどんどん自分自身の軟骨を再生するのですが、加齢とともに細胞の機能が衰えてくることで軟骨を再生する事が出来なくなります。
関節においては軟骨が再生出来なくなりその厚みが失われると骨同士が互いにぶつかり合うことで痛みを生じます。その状態がどんどん進んでくると骨の一部が損傷され関節自体が深刻なダメージを受けます。
当院の再生医療ではひざ関節に5000万〜1億個程度の幹細胞を移植します。移植した幹細胞がひざ関節にとどまることで軟骨が再生され本来の関節の動きを取り戻す事が可能です。
脳梗塞後遺症に対して点滴による幹細胞治療を受ける事が可能です。脳へ行く血管の一部に何らかの障害が生じることによって死に至る脳血管障害は、現在日本人の死因第3位です。発症から数時間以内に必要な治療を行えば一命を取り留める事が可能です。
現在各自治体や各病院の医療連携によりその治療成績は格段にアップしています。しかし残念ながら脳血管障害の発症後大事には至らなかったものの、重篤な合併症に悩まされている人は数多くいらっしゃいます。
この様な『脳血管障害の中で最も多い脳梗塞後の後遺症』に対し当山美容形成外科では幹細胞を用いた点滴治療を受けていただく事が可能です。点滴を介し血液中に入ったご自身の幹細胞が全身にくまなく供給されます。そして幹細胞の特殊な能力であるホーミング作用(※)により死滅した脳細胞や機能の衰えた筋肉などの組織へ幹細胞が集積し組織の修復を促進します
日本においては脳梗塞後遺症を始め脊髄損傷、ALSといった有効な治療法が見つかっていない難病に対して幹細胞を用いた治療が行われ、その有用性について数多くの報告がされています。脳梗塞の後遺症に対しては現在リハビリ以外に有効な治療法は無いので多くの患者様やそのご家族がお悩みです。是非一度当院での治療を検討されてみてはいかがでしょうか。
皮膚は加齢とともに老化します。皮膚のターンオーバーが悪くなりシミやくすみが生じます。また紫外線の影響で皮膚のコラーゲンが減少し肌本来の弾力が失われ、目尻や眉間、おでこに表情シワが刻み込まれます。
これらの症状は全て細胞の老化によるものです。これらの症状を改善するために様々な治療方法があります。ほうれい線の凹みに対してヒアルロン酸を注入したり、表情ジワに対してボトックスを注入したり、シワやたるみに対しては手術や各種レーザーを用いることも可能です。
しかしこれらはすでに出てきた症状を少しでも良くする事が目的の治療であって、老化して機能を失ってしまった細胞を取り戻す治療ではありません。
当院の再生医療ではあなた自身の細胞を使う事で加齢とともに衰えてしまった細胞を再生し肌本来の美しさを取り戻す事が出来るかもしれません。
アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことです。現在は明確な発症メカニズムは解明されていませんが、遺伝やアレルギーを起こしやすい体質などが発症に関与していると考えられています。
残念ながらアトピー性皮膚炎を完治させる科学的に根拠のある治療はなく、ステロイド外用療法を主として、皮膚を乾燥から防ぐための保湿外用剤の使用や、皮膚の痒みに対して抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を併用するなどの対症的療法が主な治療方法になります。
またそれ以外にも症状が悪化する原因や、アレルギーを引き起こす物質を可能な限り除去することが治療には求められます。そのことによって小児期から続く厳密な食事制限やアレルギーの原因物質の排除を親や家族側が求められるため、経済的にも精神的にも大きな負担が生じることも少なくありません。このように治療を取り巻くいろいろな環境や悩みが、ある種のストレスへと変化して家庭内や社会生活での深刻なトラブルに繋がる場合もあります。
ここ数年、難治性アトピー性皮膚炎に対して自分の体の中に存在する間葉系幹細胞を体外で培養し細胞の数を増やし、点滴で幹細胞を体内に戻すという治療が功を奏するという報告が散見されるようになって来ました。間葉系幹細胞は、脂肪や骨髄内に存在し多様な細胞に分化できる能力を持つことがわかっています。点滴静脈注射された間葉系幹細胞は難治性アトピー性皮膚炎に大きく関与するインターロイキン3とインターロイキン14というサイトカインの出現を抑えると考えられています。インターロイキン3とインターロイキン14は皮膚の炎症と痒みを誘発するタンパク質です。当院では他の治療では効果を出すことが難しい難治性アトピー性皮膚炎の患者様を対象に本治療を行うことが可能になりました。